経済学

多くの人が日本経済のこれからの成長にはイノベーションが必要だという。Facebook,Twitter, GoogleなどのIT企業を始め、宇宙ロケットの技術特許まで米国は保持している。そのような先端技術を用いた経済成長が先進国のロールモデルになるかと思う。日本はどうだろうか?

日本においてイノベーションを起こすには大きな障害が一つあると考える。それは、一度レールを踏み外せば二度と元に戻れない社会風土だ。

私は英国の高校を卒業し、現在慶應大学で勉強している。その中で思うことは、日本の学部生は入学当初は海外の学生に比べて格段に能力が高いことだ。知識量、勉強習慣、計算能力、論理的思考能力、どれをとっても英国の学部1年生より上である。

だから、私はそのような早慶東大の学生が自由にイノベーション、起業をすれば米国と同じように100人に1人、2人は成功する人間が出てくるように思う。

 

しかし、日本ではそれほど多くの人間が起業をしようとは考えない。何故なら学生の間に起業し20歳中旬などで失敗した場合、もう次のレールは途切れてしまっているからだ。ぴかぴかの新卒切符を失ってしまう。米国の様に、他に転職や、アカデミックなフィールドに戻ることは殆どの場合でむずかしい。

優秀な学生であればあるほど、そのようなリスクを取った時の機会費用が大きい。何故なら、リスクを取らずある程度の年収を得られ、安定した生活を営む選択が多く与えられているからだ。だから、リスクをより取らなくなる。その状況下において、起業が出来るのは大企業の総合職などの採用から漏れてしまうような起業する際の機会費用が低いそれ程優秀ではない学生になってしまう。だから、言葉が悪く申し訳ないがあまり専門知識のない文系の大学生が社会起業家などという肩書きで大量生産されるのだと考える。

日本経済を考えると、これからの成長にはそれらのイノベーションが必要であり、一度レールを離れてしまうと元には戻れない社会を変えなければならない。しかし、それは日本型の定年退職企業では難しいだろう。30,40代での中途採用などという道はそれほど多く存在しない。

理工学部には優秀な数学能力やプログラミングなどの技術を持つ人間が多くいる。しかし、彼らの多くはレールを離れずトヨタ富士通本田技研などに行く。それもそうだ、彼らはわざわざ道を外れてリスクを取らなくても、年1000万円近く将来もらえる選択肢があるのだ。そして、その選択肢のチケットは一度道を踏み外せばもう一度も手元に戻ってこない。

私は、そんな優秀で体力のある学生たちが、社会をよりよくする面白いサービスを社会にがんがん提供し、日本経済を引っ張って行ってもらいたいと思っている。その為には、そんな起業などのチャレンジを試みて失敗した時には、大学院に戻れたり、民間企業に入れたり、政府機関に入れる社会が必要だと考える。